「うなぎ登り」だけじゃない!知って楽しい“うなぎ”のことわざ・慣用句10選【意味と由来つき】

【うなぎにまつわる言葉の世界 ~ことわざや慣用句の意味と由来~】
私たち日本人にとって、うなぎは特別な存在です。土用の丑の日や、スタミナをつけたいときのごちそうとして親しまれてきたこの食材は、実は食文化だけでなく、日本語の中にも深く根づいています。
皆さんは「うなぎ登り」や「うなぎの寝床」などの言葉を聞いたことはありますか?
こうした慣用句やことわざは、昔から人々の生活の中で使われてきた表現で、うなぎの特徴や動き、人々の印象を巧みに言葉に取り入れたものばかりです。
うなぎはただの美味しい食べ物にとどまらず、ことばの世界でも意外なほど活躍しているのです。
このページでは、そんな「うなぎ」にまつわる日本語表現を取り上げ、それぞれの意味や由来を詳しくご紹介します。
知っているようで知らないうなぎのことばの世界を、どうぞお楽しみください。
【うなぎ登り(うなぎ上り)】
読み方:うなぎのぼり
意味:物事の勢いや数字、人気、地位などが急激に上昇する様子。
由来・背景:
・一説には、うなぎが川を流れに逆らって上る姿から。
・また、うなぎの体がぬるぬるしており、手でつかんでもスルリと上に滑ってしまう様子を比喩として使われるとも。
類似表現:急上昇、右肩上がり、鯉の滝登り(ただし立身出世の意味に限られる)
【うなぎの寝床】
読み方:うなぎのねどこ
意味:間口が狭く、奥行きが異様に長い建物や土地のこと。
由来・背景:
・細長いうなぎの姿に例えられた表現。
・京都などの町家によく見られる構造で、表から見た印象と中の広さに大きなギャップがある。
使用例:「この家、うなぎの寝床みたいに奥が深いね」
【蕪は鶉となり、山芋は鰻となる】
読み方:かぶらはうずらとなり、やまいもはうなぎとなる
意味:本来は起こるはずのないことが、まれに起こることのたとえ。
由来・背景:
・見た目が似ていても、蕪がうずらになったり、山芋が鰻になることは現実には起こらない。
・それが起きるという“非常識なことが実現する”意から。
【山の芋鰻とならず】
読み方:やまのいもうなぎとならず
意味:どんなに似ていても本質が違えば同じものにはならない。無理なことは無理。
由来・背景:
・山芋と鰻は一見、ヌルヌルしていて似た質感に見えるが、実際にはまったく別物。
・似て非なるものは結局同じにはならない、という戒め。
【山の芋鰻になる】
読み方:やまのいもうなぎになる
意味:ありえないことが実際に起こることのたとえ。
由来・背景:
・現実には起こらないが、極めてまれに似たことが起こることを皮肉的に表現。
・想像できないような劇的な変化を指す。
【鳥目に八目鰻】
読み方:とりめにやつめうなぎ
意味:目的と手段が合っていないこと、無駄な努力。
由来・背景:
・夜盲症(鳥目)を治すために“八つ目鰻”を食べても意味がない、という医学的な迷信を元にした比喩。
・見当違いな行動を戒める言葉。
【うなぎの木登り】
読み方:うなぎのきのぼり
意味:物理的・現実的に不可能なことのたとえ。
由来・背景:
・ぬるぬるして滑るうなぎが木を登ることなど不可能であるため、絶対に無理な状況を表す。
【うなぎ屋のスッポン】
読み方:うなぎやのすっぽん
意味:逃げられない、あるいは簡単に手放せない状況のたとえ。
由来・背景:
・スッポンが一度噛みついたら離さないことから。
・仕事や関係が「うなぎ屋のスッポン」のようにしつこく付きまとう様子を表現。
【火事の話に逃げた鰻】
読み方:かじのはなしににげたうなぎ
意味:話が誇張されて大きくなる様子のたとえ。
由来・背景:
・火事や逃げた鰻の話は、聞く人によってどんどん話が大きくなる傾向があることから。
【鯊は飛んでも一代、鰻はのめっても一代】
読み方:はぜはとんでもいちだい、うなぎはのめってもいちだい
意味:どんなに派手な行動をしても、人生は一度きりという人生観を表す。
由来・背景:
・はぜが飛び跳ねても、うなぎが泥に潜っても、それぞれの生き方に大差はないという哲学的な言い回し。
【鰻の頭の水を飲むよう】
読み方:うなぎのあたまのみずをのむよう
意味:死にそうで死なない、なかなか終わらない状態のたとえ。
由来・背景:
・うなぎは生命力が非常に強く、頭を切られてもしばらく動き続ける。
・その様子が「水を飲んでいるように見える」ことから。
【串打ち三年、裂き八年、焼き一生】
読み方:くしうちさんねん、さきはちねん、やきいっしょう
意味:職人の技術習得の奥深さを表す格言。
由来・背景:
・うなぎ職人の世界では、串を打つ技術習得に3年、捌きに8年、そして焼きの加減は一生修行が必要とされる。
・熟練が必要なうなぎ料理の奥深さと職人技の尊さを表している。
いかがでしたか?
身近な「うなぎ」には、こんなにもたくさんの言葉や文化が根付いているのです。
単なる食材としてだけでなく、日本語や暮らしの中に息づく存在としても、うなぎは昔から愛されてきたことがわかります。

今度うなぎを食べるときには、今回ご紹介したことわざや慣用句をふと思い出してみてください。
きっと、うなぎの味わいもまたひと味深く感じられるはずです。
これからもうなぎにまつわる豆知識やおいしい情報をお届けしていきますので、どうぞお楽しみに。